残間 恒例となった試食会ですが、今年は岸本和歌山県知事が初参加です。では皆さま再会、そして新たな出会いを祝して梅酒で乾杯しましょう。 本日の乾杯酒はみなべ町・横山食品の『にごり梅酒 はる姫』です。うらごし果肉を加えたトロリとした飲み口をお楽しみください。それでは乾杯!
一同 乾杯!
幸田 いい香りですね。
クミコ 美味しい!
鈴木 梅とお酒、両方が大好きなぼくにとって、最高の乾杯ですよ。
【和の膳】
イタドリはお酒に合う、ご飯に合う! と大好評
『じゃばら胡椒』の繊細な辛味にも「イイね!」
残間
早速、和食の膳からまいりましょう。今日の試食は、最近プレミア和歌山に認定された商品を中心に構成されています。
まず『ごんちゃん』をどうぞ。これは東日本ではあまり食べないようですが、山菜のイタドリの茎を秘伝の味で煮つけたものです。シャキシャキ感を出すのが難しいそうで、令和4年度、つまり最新の「プレミア和歌山推奨品審査委員特別賞」を受賞しました。地元では毎年完売してしまうベストセラー商品とのことです。
幸田 『ごんちゃん』、お酒に合いそうですね。
残間 お飲み物には『わかやま山東のどぶろく辛口』をご用意しました。どぶろくというと甘口なイメージがありますが、これはスキッと辛口です。お食事にも合わせやすいのではないでしょうか。
荻野 あ、ホントだ! これはいいですねえ。
知事 ぜひ、たくさん召し上がってください。
幸田 少しピンクがかったところが可愛いです。
幸田 イタドリの『ごんちゃん』、これ、後を引きますね。
クミコ うん、これは引く!
弘兼 イタドリって「すかんぽ」のことですよね。昔、唄でありましたよね。「土手のすかんぽ、ジャワさらさ~」
弘兼 憲史(ひろかね けんし)
漫画家
松下電器産業に勤務の後、1974年漫画家デビュー。
代表作は『島耕作』シリーズ、『人間交差点』『黄昏流星群』など。
2007年には紫綬褒章を受章。
残間 別名でそう呼ぶようですね。
弘兼 都会の人は知らないかもしれませんが、僕は山口の田舎の出身ですから、周りにイタドリはいっぱいありましたよ。学校帰りに採って食べたものです。ちょっと酸っぱい感じでね。
残間 野生のものはかなり鹿に食べられてしまうそうで、最近は栽培も始めているようです。山本さんは和歌山でイタドリを栽培しているって聞いて、感激なさったそうですね。
山本
ええ、びっくりしました。私は四国の、弘兼さん以上の田舎の出ですから、イタドリは身近なものでした。それを現代でも大事にして、しかも栽培してるっていうんですから嬉しい。
高知では塩漬けにした物を戻して炒め煮にしたり、煮物にするのですが、『ごんちゃん』は親戚の誰かがジップロックに入れて持たせてくれたような、売り物でない美味しさがあると思います。
泉
あっさりしたザーサイみたいなところもあるから、ちょっと和風のチャーハンなんかに使ってもいいかも。
イタドリっていうと確か白土三平の漫画なんかで傷を負った忍者が傷口に葉を塗りこんで治していた気がします。漢字も「虎杖」なんて書く。杖は茎の格好からきてるらしいですが。
泉 麻人(いずみ あさと)
コラムニスト
慶應義塾大学卒業後、編集者を経てコラムニストに。
『昭和50年代東京日記』『銀ぶら百年』など
東京や時代風俗に関する著作を多く著す。
各地の食文化も詳しい。
残間 『ごんちゃん』はご飯にも合うので用意しましたが、このお米もプレミア和歌山なんです。『熊野米』といいまして、品種的にはコシヒカリと同質の食味・品質のヒカリ新世紀という品種なんですが、栽培時に梅の調味液を使うことで除草剤の使用が抑えられています。粘りがあって冷めても美味しくいただけるお米です。
クミコ ご飯が美味しい!
荻野 これが『熊野米』ですね。噛みしめるとふくよかな甘みが口の中に満ちます。お米だけにオー米(マイ)ゴッド。箸が止まらないです。
荻野 アンナ(おぎの あんな)
作家
パリ第4大学に留学、ラブレーを研究。
帰国後、研究のかたわら執筆活動を始め、
『背負い水』で芥川賞受賞。
温泉、旅好きで、エッセイにも定評がある。
残間
それから『釜揚げしらす』ですね。今日は菊菜のお浸しとご一緒にどうぞ。
こちらを生産している福扇水産は、もともとは漁師さんで40年以上有田市の箕島漁港でしらす漁をしていたんですが、自ら釜揚げしらすの生産を始めた会社です。市場から工場までの移動距離はわずか5分と、しらすの抜群の鮮度が自慢です。
しらすのことを熟知した漁師さんならではの微妙な塩加減・茹で加減が施され、機械乾燥はせず、毎日の温度・湿度に合わせて天日干しされています。
知事 これは聞き齧りなんですが、しらすはとてもソフトに獲ると安楽死するそうです。
幸田 ええっ!?
知事 そうやって獲ったしらすは死ぬ時に苦しまない。だから美味しいそうです。苦しんで死んだしらすは美味しくないと。
残間 確かにしらすはたいへん傷みやすい魚で、下手をするとかかった網の中で死んでしまう場合もあるそうです。ですからしらすがたくさんかかるまで長く網を引っ張っていたものは、鮮度が悪いと加工業者の方は避けると聞いたことがあります。
知事 しかし同じ網で獲るにしても、どうソフトに獲るかは謎なんですが。
幸田 (しらすに向かって)君たち、成仏したのね。
残間
くすもと寿司さんの『さんま寿司(背開き)』もどうぞ。もともと紀南地域ではお正月ですとか、晴れの日にさんま寿司を食べる習慣があります。
胡麻豆腐は『高野山特産 ごま豆腐』です。白胡麻を練り上げ、葛を加えてなめらかでモッチリとした口当たりが特徴です。同じくプレミア和歌山の『じゃばら胡椒』をのせています。じゃばら胡椒は北山村のじゃばらを使った香辛料です。
弘兼 今や高級魚のさんま、とても贅沢な一品ですね。さんまの身と酢めしがぎゅっと固められていて、とてもボリュームのある腹持ちのいいお寿司です。ハイキングとか、散歩とか、屋外で食べるのに適していますね。もちろん美味であることは言うまでもありません。
泉 なるほど、ゆずの代わりにじゃばらを使っているんですね。柚子胡椒ならぬじゃばら胡椒。
荻野 柚子胡椒より繊細ですね。じゃばらの爽やかさが鼻からツンと抜けます。これだけで、もっと食べてみたい。
クミコ 今時、本葛で作られた胡麻豆腐は素晴らしい。本物は滋味豊かで、くどさがありません。老親を抱える身には、こういう舌触りが良く栄養豊富で美味しい食品が助かります。
クミコ
歌手
「わが麗しき恋物語」が"聴くものすべてが涙する歌"としてヒットし、
一躍脚光を浴びる。
2010年、「INORI~祈り~」で第61回「NHK紅白歌合戦」初出場。
11年3月11日、石巻市で東日本大震災に遭遇し被災。
以来、支援活動も積極的に行う。
【洋の膳】
『熊野蜜』の優しい味わいは、ハチミツ嫌いも思わず納得。
さすがは奨励賞受賞! みかんジュースの深い甘味に驚きの声
残間 続いて洋食のプレートです。まずはパンケーキですが、これに塗られているハチミツ『南紀 熊野蜜』がプレミア和歌山です。令和4年度の審査委員奨励賞を受賞しています。古座川町で野生の日本ミツバチを捕獲することから始めて作っています。遠心分離機を使わずに自重で垂れるに任せる「垂れ蜜」という技法でして、自然な味わいを楽しめます。
クミコ 一滴一滴を人の手を介さず集めた貴重品なんですね。サラリとした味わいに驚きます。これなら蜂蜜が苦手な人にも勧められそうです。
残間 エビフライはプレミア和歌山の『熊野海老』を使っています。和歌山県近海で獲れた61g以上の大型のアシアカエビをブランド化したものです。車海老にも勝るとも劣らないと評判だそうです。
弘兼 これは養殖してるんですか?
残間 すべて天然物です。アシアカエビは日本ではどこも養殖はしていないようです。大ぶりで見栄えがするでしょう?
泉 おいしい食材が豊富な和歌山ですが、和歌山にこういうフライ向きのエビがあるとは知りませんでした。上品な甘味がありますね。こんど和歌山に行ったら海老フライのある洋食屋もチェックしなくては。
残間 それからキッシュロレーヌがありますが、この材料になっているのが『龍神コッコの小さなたまご』というプレミア和歌山商品です。もともと和歌山には龍神地鶏という地鶏がいたんですけど、採卵用の鶏ではありませんでした。これにロードアイランドレッド種を交配させて生まれたのが龍神コッコです。県の養鶏研究所と事業者が一緒になって開発しています。卵はサイズはとても小さいんですが、黄身の割合が多く濃厚な味わいです。卵かけご飯にもおすすめです。
幸田 美味しさをぎゅっと凝縮したような味わいがたまらないキッシュロレーヌですが、その秘密は小さくて濃厚な龍神コッコたまごだったのだと知って納得しました。
残間 クラッカーに乗っているのは『Kumano Yagicheese:Ueno』でして、その名の通り山羊の乳で作ったチーズです。田辺市上野にイタリアから来られて、レストランとゲストハウスを経営している方がいらっしゃいます。そこで山羊を飼っていたんですが、もともとチーズ作りに造詣があったので生産を始めたとのことです。山羊の健康にもこだわった、新鮮なヤギミルク100%で作られています。
幸田 私は、自他ともに認める大のチーズ好きで、どこに行ってもついお土産に買って帰ります。なかでもシェーブル(ヤギチーズ)には目がないのですが、日本製でこんなに美味しいのは初めてです。
残間 同じ皿にのっているのは『甘夏のチーズテリーヌ』です。加工品としてプレミア和歌山に認定されています。『Mobo』という欧風料理レストランが作っているもので、甘酸っぱくほろ苦い甘夏にハーブを合わせたジュレと、まろやかなチーズの2層テリーヌになっています。
山本 和歌山といえば太陽と潮風。つまり柑橘とチーズの塩味の取り合わせですね。『甘夏のチーズテリーヌ』は、それが見事に形になっている。
※写真右
プレミア和歌山推奨品
『Kumano Yagi Cheese : Ueno』
Garden DAL Giovanni
TEL. 080-8511-6450
※写真左
プレミア和歌山推奨品
『甘夏のチーズテリーヌ』
欧風料理 Mobo
TEL. 0739-20-2441
残間 このプレートには飲み物としてジュースをご用意しています。こちらは令和4年度の審査委員奨励賞を受賞した『マルケンみかんジュース 賢宝』です。樹上完熟したマルケンみかんを新鮮なうちに皮を剥いて絞ることで、雑味のないみかん本来の果汁となっています。
泉 これ、先日送っていただきましたが美味かったですよ。
幸田 色が綺麗ですね。
弘兼 このジュース、お砂糖とか入ってなくて、そのまんまなんですか?
残間 ええ、絞ったままです。南斜面のいいみかんができる畑で採れたみかんを使っています。
山本 みかんの美味しさをそのままに、スッキリとした味わいですね。
幸田 これは贅沢です!
幸田 真音(こうだ まいん)
作家
米国系銀行や証券会社でディーラーなどを経て、
1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。
主な著書に『日本国債』『凛冽の宙』『日銀券』ほか多数。
『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で新田次郎文学賞受賞。
【デザート】
素朴にして艶やか
和歌山らしさを巧みに活かした“口福”デザートたち
残間
さあ、最後はデザートです。『有田産みかんゼリー』はストレート果汁と果肉を使用して、もう16年以上変わらない製法で販売しています。その手前にあるのが『紀州わかやま 和-nagomi-菓子 ちゃちゃぼうろ。』という、緑茶の粉末を混ぜたぼうろ菓子です。お茶は那智勝浦町で色川茶というのが栽培されているんですが、それを使っています。
『じゃばらあられ』はちょっとピリッとくるでしょう。「じゃばら七味」を使ったあられです。
弘兼 このゼリーは美味いね。
クミコ みかん、たっぷりですね。美味しい。
幸田 こういうゼリーって甘いだけのが多いんですけど、これはしっかり酸味も感じます。
荻野 『マルケンみかんジュース 賢宝』とゼリーを一緒に食べていると、個体と液体、両方の状態を楽しめますね。
幸田 あれ? 荻野さん、今日はいつものダジャレがあまり出ませんね。
荻野 ………これはオレンチ(=俺の家)ではできない味です。
弘兼 期待を裏切らないなあ。さすが!
山本 “邪”を祓う『じゃばらあられ』。その威勢のよさに持っていかれます。あっという間に一袋食べてしまいそうですよ。
鈴木 『ちゃちゃぼうろ。』はサクサクした口当たりを楽しんでいるうち、お茶の良い香りがふんわりと漂ってきますね。
鈴木 光司(すずき こうじ)
作家
1990年『楽園』
(日本ファンタジーノベル大賞優秀賞)でデビュー。
『リング』『らせん』シリーズが
計800万部のベストセラーとなり、
ハリウッドでも映画化。
試食や審査を通じて伝わってくるのは
生産者たちの熱い思いとプライド
残間 最後に隣に飾ってある胡蝶蘭をご覧ください。『胡蝶蘭(フォアスSOSO)』これもプレミア和歌山でして、令和4年度審査委員奨励賞を受賞しています。知事、直接ご紹介していただけますか。
知事 非常にユニークな取り組みでして、胡蝶蘭はもらっても普通はじきに枯れてしまいます。何度も咲かせることもできるんですが、これが素人にはなかなか難しいものです。結局、立派な鉢と一緒に捨てることになります。もったいないですね。
鈴木 そうそう。
知事
これはプレゼントした後に回収するのもセットになってるんです。回収した胡蝶蘭をプロが再生して、それをまた市場に出すというシステムです。SDGsのコンセプトですね。
それから鉢は伝統工芸の「紀州漆塗り」と日高町の「熊野黒竹」を使用して、胡蝶蘭をひとつのアート作品に仕立てているのも特徴です。とにかくすべてにリサイクルが考えられた胡蝶蘭なんです。
残間 わたしも胡蝶蘭の再生はやったことがありますが、なかなか難しいんですよ。枝を切っていくんですけど、切る箇所を間違えるとダメなんです。
幸田 はい、私もやったことがあります。私はたまたま運が良かったのか2回までは成功しました。
残間 里江子(ざんま りえこ)
プロデューサー/プレミア和歌山推奨品審査委員会委員長
「大人から幸せになろう」など、文化イベント等を多数企画・開催。
新しい「日本の大人像」の創出を目指す
会員制ネットワーク「クラブ・ウィルビー」を主宰。
残間
さて、プレミア和歌山の審査には毎年100品以上の応募があるんですが、応募の品にはそれぞれ県の担当者がついていて事業者を応援しています。イタドリでしたら林学職の人がついていて、どんなにイタドリで作った『ごんちゃん』が素晴らしいかを審査員の前で熱く語るんですね。事業者だけでなく、そういう人たちの熱意も伝わってくるんです。
最後には事業者自身からプレゼンテーションしてもらい、商品に込めた思いを述べてもらうんですが、それに審査員の心が動かされます。生産者の皆さんの思いはとにかく熱いです。
とはいえ、今の審査員は厳しくて、けっこう落とすんですよ。それで何度応募してきても通らない人たちもいるのです。「ちょっとこれはやめた方がいいんじゃない」というようなことを審査員に言われたりしてもめげません。
でもすごいのは、「私たちは何も間違っていない、これで正しい」と、何度でも同じ商品でトライしてくる方がいるんです。もうまるで我々審査員たちの舌がおかしいのかと思ってしまうぐらいに、自分たちのやり方に信念と誇りを持っています。
弘兼 自信を持ってるんですね。
山本 それはいい話です。好きだなあ。
山本 一力(やまもと いちりき)
作家
通信機輸出会社、旅行会社、広告制作会社など経て、
1997年『蒼龍』でオール讀物新人賞受賞してデビュー。
2002年『あかね空』で直木賞受賞。
残間
「この味こそ私たちのソウルフードなんです!」と決然と言うわけです。
一同 (笑)
知事
和歌山というのは変わったところでして、中世の頃、紀伊半島は畠山氏というのが領主だったんですけど、すごく弱い殿様で全然上手く領地を治められなかったんですね。それで各地の村の長が「惣」という自治組織を作っていたせいか、対等意識がとても強いんですよ。ですから方言の和歌山弁には敬語がないんです。
一同 へえー!
岸本 周平(きしもと しゅうへい)
和歌山県知事
和歌山市出身。大蔵省、衆議院議員を経て2022年より現職。
幸田 フラットだったんですね。
知事
フラットなものだから、権威や強いものには反発心がある県民性なんです。
ですから織田信長が紀州に攻めて来た時に、鉄砲衆の雑賀孫一というのがいまして、小説にもなってますが、信長に戦いを挑むんですよ。大きな力の差があるのに。で、2回負けて一旦和睦するんですが、結局3回目を挑んで殺されてしまいます。ですから3回残間さんたちにダメって言われても、かかっていくわけです。
一同 (笑)
知事 滅びの美学とでも言うんでしょうかね。秀吉の頃には根来衆、根来寺の一派で一時は高野山よりも勢力があったんですが、これも鉄砲衆がいまして秀吉に刃向かい、全ての寺が焼き尽くされてしまいます。今、二つ三つ残っていますけど。
弘兼 意地を張って損することが多そうだなあ。
知事 ある意味、面白い人たちなんです。
残間
でも、魅かれる部分でもありますね。
さて、そろそろお時間のようですが、お楽しみいただけましたか。これからも皆さんそれぞれのフィールドで、是非ともプレミア和歌山の応援をお願いします。本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
一同 よろしくお願いします。