KISHU+
MICHIKAKE
おぼろな光に包まれ
妖しく浮かび上がる漆の美!
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まず荻野アンナさんたちがやって来たのは、和歌山県北西部に位置する海南市。ここは古くからの紀州漆器の里。紀州徳川家が保護奨励したこともあって、今も50を超える漆器工房が軒を連ねています。
漆器は主に、木地づくり・下塗り・上塗り・絵付け(蒔絵/螺鈿)の工程に分かれ、各工房がそれぞれ得意とする工程を担当し、連携しながら製作しています。このような土壌から生まれたのが『KISHU+(きしゅう
ぷらす)』ブランド。工房の若い世代が集まり、漆器の新しい価値創造を模索しています。
荻野さんの今回のお目当ては、KISHU+が製作し、プレミア和歌山推奨品・令和二年度奨励賞を受賞した『MICHIKAKE(みちかけ)』。では一体、MICHIKAKEとは何か? 荻野さん、興味津々と製作現場を訪れました。
目指したのは漆器をいかに美しく見せるか
MICHIKAKEは照明器具。漆器の中にライトが仕込まれています。ユニークなのはライトを覆っているカバー部をスライドさせることで、灯りが下弦の月から新月、上弦の月へと形を変えられること。その灯りは柔らかく、幻想的な風情さえ漂わせています。単なる間接照明というよりオブジェに近い存在かもしれません。満月にはならないのは、和ならではの奥ゆかしさとか。
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木地づくりを担当したKISHU+の島圭佑さんは次のように語っています。
「『MICHIKAKE』の個性的なところは、スタートが照明器具ではないからかもしれません。照明器具を作ろうとしたら、そこにどうやって和のスタイルを加えていくかという発想になると思います。でも僕らは照明屋ではなく漆器屋です。漆器を作ることがスタートで、それをどう美しく見せるかということで照明につながっていきました」
装飾ではなく“機能”としての蒔絵の可能性
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
MICHIKAKEが放つ光はふんわりと柔らかい、ロウソクのような優しさがあります。その秘密は漆器内部に施された金粉の蒔絵にあるといいます。
「絵付け、蒔絵というのは本来装飾です。私がMICHIKAKEで目指したのは、そこに機能をもたせること。金粉の蒔絵で表面を美しく見せるだけでなく凹凸が生まれ、照明の光を乱反射させます。それが金色と相まって、独特の温かな光を生むんです」(大橋善弘さん/絵付・蒔絵担当)
電気がなかった時代、夜に漆器を愛でようとすればロウソクの灯りの下だったでしょう。ならば漆器とほの灯りは相性がいいはず、という声も製作チームから聞こえてきました。
確かに、最初は灯りの形の面白さにばかり目が行きますが、間近に見ると灯りがカバー部の黒漆に映え、なんとも艶かしい表情を見せています。塗りを担当した中西拓士さんはこんな風に語ってくれました。
「漆の良さって、その妖しいような光沢感にあると思います。MICHIKAKEでは、柔らかな光で浮かび上がる上面カバーの黒漆。そこも見てほしいですね」
海外、特にフランスからも引き合いがあるといい、対にして設置するために2つまとめて購入されるケースもあるとか。KISHU+は「AKARI IN
JAPAN」というメッセージの下、積極的な海外展開を視野に入れています。またホテルや飲食店等での利用もアピールしていきたいとのこと。
ホテルのバーに入って、こんな灯りに迎えられたら………ちょっといいかもしれませんね。

KISHU+の左から大橋善弘さん、中西拓士さん、島圭佑さん。
荻野アンナさんから一言!
MICHIKAKEは谷崎潤一郎の“陰翳礼讃”の世界を、伝統と現代の技術で21世紀に蘇らせているんじゃないでしょうか。新たな光の可能性というか、単なる照明というより空間をデザインする、広がりのある存在だと思います。
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この記事に登場したプレミア和歌山推奨品
木の工房 樫
KOGUCHIスツール
二つと同じものなし
紀州杉の個性をカラフルに詰め込む
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続いて荻野さんが訪れたのは和歌山県中央部に位置する田辺市。地元・紀州杉の良さを活かして、ユニークな椅子づくりをしている『木の工房 樫』にお邪魔しました。
写真でもわかるように、この『KOGUCHIスツール』の特徴はその座面にあります。木を板に製材した際の断面である小口(こぐち)。年輪が現れるこの小口をブロック状に組み合わせ、座面にしたのが『KOGUCHIスツール』です。小口の色や模様は千差万別ゆえに、同じものは二つとしてありません。こちらもプレミア和歌山推奨品・令和二年度奨励賞を受賞しています。
杉の色、模様の豊富なバリエーションを
活かしたかった
工房の主人である樫本弘さんにお話を伺いました。
「杉の木は非常に色やバリエーションが豊富なんです。色は真っ白なものから、真っ黒に近いものまであります。さらに木の中心部の芯材と、水や養分の行き来する表皮に近い辺材でも表情が違います。年輪も木が大きく成長する夏目と、それほどでもない冬目との違いがあります。杉というのは、この違いが前から面白いと思っていました。同じ針葉樹でも檜はそれほど変化がないんです」
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杉板を棒状に切ったものを複数種類並べてから接着。
これを小口を横断する形で、再び棒状に切断します。
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模様、色、配列を決めて接着。
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接着剤が乾いたら周辺部を切り落とし、円形にします。
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スツールの脚を組み、ヤスリで磨き上げ、
植物性オイルにニスを混ぜたものを塗って仕上げます。
どんなルールで小口の配列を決めているのか、荻野さんが樫本さんに聞いてみると………
「うーん、そこはあるようなないような。最初に木を切っている段階で、何となくこういう並びかな、というのが見えくるんです」
なんだか木と対話しているみたいですね。
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木の個性を存分に引き出したい
樫本さんは家具を作り始めて20年ほどになりますが、その前はごく普通のサラリーマンをしていたそうです。しかし元来のものづくりへの思いが断ち切れずこの道へ。修行時代を経て今は自らの工房を構えています。
そんな樫本さんに家具を作る上での自分なりのこだわり、目標とするところを尋ねてみました。
「うーん………、特に強いこだわりのようなものはないんですけど、木は一本一本、板にしても一枚一枚違います。それぞれの木がもつ良さや個性を、できるだけ引き出したい。そう思って作っていますね。それがささやかではありますが、私のこだわりでしょうか」
木の香りに包まれた工房で、樫本さんの愛情溢れるものづくりに触れた荻野さんと残間委員長。深く感じ入った様子で田辺市を後にしたのでした。
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樫本弘さんを囲んで。
荻野アンナさんから一言!
木を切り始めた時の樫本さんの清々しい表情を見て、この人は全身全霊で木と向き合ってるんだと思いました。『KOGUCHIスツール』は見た目の楽しさだけでなく、香り、手触りも含めて、木の存在が五感で伝わってきます。木という自然の存在に人の力が加わることで、こんなにも素晴らしいものができるんですね。いやまさに、「この椅子、いーっすね!」
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この記事に登場したプレミア和歌山推奨品
column
パンダを見るなら和歌山に限る
アドベンチャーワールド/和歌山県西牟婁郡白浜町
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屋外で元気に笹を食べる「彩浜」
海南市、田辺市での取材を終えた荻野アンナさんと残間委員長。東京に帰るべく南紀白浜空港に向かったのですが………、そうです。ここまで来て、あれを見ずには帰れません! いざパンダマニアの楽園へ。
南紀白浜空港のすぐそばにあるのが『アドベンチャーワールド』。マリンワールドやサファリワールドなど、動物園、水族館、遊園地が一体になったテーマパークです。中でも目玉はジャイアントパンダ。飼育や繁殖が難しいといわれるパンダですが、アドベンチャーワールドは日本で最も繁殖に成功していると言われ、現在も7頭ものパンダが飼育されています。
この日は屋外でまず5歳の彩浜(サイヒン)、屋内で7歳の桜浜(オウヒン)を見ることができました。やはり何と言ってもここのパンダは「近い!」の一言につきます。もっとも近づくと3~4メートルほどでしょうか。とってもフレンドリーな雰囲気でゆったりとパンダを楽しめるのです。荻野さんも残間委員長もテンション急上昇。
そして極め付けは、まだ1歳になったばかりの赤ちゃんパンダ・楓浜(フウヒン)。よろよろと頼りない足取りであっちへウロウロ、こっちででんぐり返り、笹の葉を食べたり………。この愛くるしい仕草にさすがの荻野さんもため息混じりに「癒されるー」と一言。和歌山への取材旅行を楽しく締めくくったのでした。
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思わず彩浜の写真を撮りまくってしまうお二人。
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1歳になったばかりの楓浜。可愛すぎる!
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ご案内いただいた宮下透さんと。
お世話になりました。
プレミア和歌山パートナー出演 PR動画